環境整備はなぜ会社に大きな成果をもたらすのか?【まとめ】

わが社では環境整備を社内で取り組み始めて13年目を迎える。

環境整備を導入した当初は、これだけ多くの成果が上がるとは考えていなかった。すでに導入している社長からは、『環境整備はすごく儲かるから絶対にやったほうがいい』ということを何人からの社長から言われた。この儲かるという不純な動機から環境整備の社内導入をはじめた。

環境整備とは

そもそも環境整備とは、”仕事をやりやすくする環境を整えて備える”ことを言う。整理・整頓・清潔・礼儀・規律の5項目の観点から目に見えるものを整えることからはじめる。ここでわが社の経営計画書に記載れている内容を使って環境整備の詳細を説明する。

1.基本

環境整備を会社の文化です。職場で働く人が心を通わせ、仕事のやり方・考え方に気づく習慣を身につける。
(1)環境整備とは「仕事をやりやすくする環境を整えて備える」こと。
(2)環境整備の3ステップ
物的環境整備…整理整頓を徹底し、誰にとっても快適で清潔な状態をつくり維持すること。
人的環境整備…社会人としての基本的なマナーや挨拶・身嗜みのこと。
情報環境整備…様々な情報を社内で共有し、見える化すること。
(3)環境整備の7つの効果
①作業効率UP ②安全性UP ③生産性UP ④サービススピードUP ⑤品質UP ⑥社員満足UP ⑦お客様満足UP

2.目的

(1)お客様満足(果実)を大きくするためには、ぐらつかない強く栄養豊富な木が必要です。そのためには土の中に太くしっかりとした根を張り巡らせなければできません。その根の部分が「物的環境整備」「人的環境整備」です。

(2)環境整備で整えられた「共通の価値観」「共通の道具」を使って、大量のお客様情報を部下(根)から幹部(幹)へ吸い上げ、幹部からの提案によって社長が決定する。この「情報環境整備」のサイクルを数多く循環させることでお客様満足(果実)は大きく成熟する。

3.物的環境整備

(1)「形」から入って「心」に至る。「形」ができるようになれば、あとは自然と「心」がついてくる。物的環境整備を全ての事業活動の原点とする。
(2)凡事一流。誰にでもできることを誰にもできないくらいやる。
(3)毎日15分間計画を立てたところを必ず全員で行う。
(4)守破離の守、戦略と戦術、G-PDCAを学ぶ時間とする。
(5)環境整備の目標は、全事業部のショールーム化とする。

【整理】(捨てること)
①いる物といらない物を明確にし、必要最小限度までいらない物・使わない物を捨てる。
②いらない物を捨てて、探す時間をなくす。
③無駄な仕事は上司に相談しすぐに止める。やらないことを決める。

【整頓】(揃えること)
①三定管理(定品・定位・定量)を徹底する。
②使った物はもとの位置に戻す。
③物を置く時は向きを揃える。水平垂直、直線等間隔に揃える。

【清潔】(維持すること)
①今日はここだけという部分を計画表に基づいて、徹底的にピカピカに磨き込む。
②お客様から見えるところを重点とする。
③『目の前のゴミすら拾えない人間に一体何ができようか?』の言葉を胸に、環境整備の時間以外でも常に気を配り、清潔に心掛ける。

4.人的環境整備

(1)時を守る(一瞬一瞬に集中し、好機や運や縁を掴み取る)
(2)礼を正す(お願いするのではなくお礼でお客様の心を砕く)
(3)悪い習慣を整理して、良い習慣を身につける。

【躾】(体で表すこと・礼儀)
①返事…名前を呼ばれた時は「はい」と返事をして即行動する。
②挨拶…相手の目を見て名前を呼んで、元気よく、明るく、大きな声で相手より先に挨拶をする。「業界で一番爽やかな挨拶をしてくれる会社」にする。社内では「お楽しみ様です」と挨拶する。挨拶の声は85デシベル以上とする。
③笑顔…相手も笑顔にできて、自分も幸せになれる誰にでもできる最高の商品です。
④身嗜み…出会いの印象は最初の5秒で決まる。相手への敬意と心配りの表れです。
⑤素直…「ありがとうございます」を素直に伝える。成長する人が必ず持っているものです。

【作法】(ルールを守ること・規律)
①時 間…時間を守り5分前集合を行動の基本とする。時間を守れない人は信用を失う。
②ルール…決められた方針は必ず守り、指示・命令は絶対に遂行し、途中結果は随時報告する。
③約 束…忘れないため、忘れるためにメモをとる。指示されたことを考えないで即実行する。実行しないと未来は何も変わらない。

5.環境整備点検

(1)事業年度計画表に基づき、代表が巡回点検する。
(2)環境整備の点数を評価に連動する。
『1歩・1秒・1行程・1関節の無駄を徹底的に削減する』

仕事上手は整頓上手

目に見えない仕事、社内業務、社内の関係性が上手くいかないのは、目に見えるモノが整っていない、整えられない、整えようとしないからである。このような考え方から、徹底して目に見えるモノを整理・整頓することで、仕事という目に見えないコトは整いはじめる。

新入社員に環境整備を徹底する理由

私は、入社してきた社員たちに最初に徹底して環境整備を強制している。なぜ、早い段階でこの環境整備を徹底するのか。

組織に入ってきたばかりの社員の仕事はまだまだ一人前とは言えません。でも、環境整備は本人がその気にさえなればすぐに一人前になることができる。特別な能力は必要ありません。必要なものは、素直な心だけ。だから、組織の方針を実行できる社員に育てるためには、この環境整備という方針がどれだけ素直に徹底できるかが重要になってくる。

人は、目に映るものの状態が、頭の中にも影響を与えると言われている。つまり、目に見えるものが整理整頓できない人は,目に見えないものを整理整頓できていない。目の前がもので溢れている赤字社員は、頭の中も整理整頓できていない。さらに、ひとつひとつ仕事のかたをつけていないから、目の前の物もかたづきません。

そのような社員には、まず目の前のモノを整理整頓させることからはじめることだ。それ以外の仕事を与えても本人も、カタがつけられない以上組織も混乱するだけ。

目の前の物が整理整頓されている社員は、頭の中もかたづいている。そのために、新しい仕事を頼まれても、すぐに実行することができるのである。

ものごとが上達するには手順がある

ものごとが上達する手順『守・破・離』を知る。

守・破・離とは、物事を学ぶ時の最も大切な基本姿勢であり、武道・茶道・華道に限らず、仕事においても先人達は、この三つの階段を経てその道を究めることが最も物事が上達すると言われている。

守破離の守とは、学ぶこと。学ぶこととはつまり真似ること。師匠から、先生から、上司から教わったことをそのまま愚直に真似ることからはじめること。すべて師の教え通りにやる。それ以外のやり方をしてはいけません。何故ならばそれが練達の早道だからだ。

師は長い年月の間、修練を重ね、ひとつの物を築き上げている。もし、初心者でこれを疑い、批判する者がいたなら、その人は学ぶ姿勢がない者であり、絶対に向上発展はあり得ない。

この『守』は、言葉で言うことは簡単だが実際にやってみると中々出来ない事がわかる。私の経験上10人に教えたら『守』ができるのは1人いればよいほうだ。できない人のほとんどは、『守』を通り越して、『破』をやってしまっている。

本来であれば、『破』とは『守』をやりきった人だけが挑戦できるもの。でも、『守』とは人のスタイルをそのまま真似るため多少のストレスを感じることが多々あり続けるため難しい。だから、ほとんどの人は教えられたことに我流の方法ややり方などのアレンジを加えて実行したことを『真似た』と勘違いしている。これでは上手く行くことも上手くいかない。

ここで重要なことは、『同じヒト』が『同じコト』を『同じヤリカタ』をしていたのでは『同じ結果』しか生まれないこと。これを理解する必要がある。

素直になれない人は、折角良い方法を真似るきっかけがあったとしても、それに自己流のアレンジを加えてしまう。更に問題なのは、その状況を真似たつもりでいること、やり方を変えたつもりでいることだ。

上手く行かない人には、何かしらの悪い習慣が必ずある。その習慣を変えない限り、『あのやり方試してみたけどダメだったよ』という結果に陥る。そのような人は、いろいろな方から指導やアドバイスをもらっても成果が出ることはない。

素直さが足りなく、自分を捨てることができないために、結果が変わることはありません。このように『守』の段階を踏まずに、『破』だけをやっている組織が上手く行くことはありません。もし行っていたとしても、それはたまたまであり、その状態を続けることは難しい。

学びには4つのステップがある

ではどのようなプロセスを経て、『守』から『破』に移行すればいいのでしょうか?守破離の守には次のような4つのステップがある。

守(学び)の4つのステップ
第1段階 『できない』ことを知らない状態(無意識的無能)
第2段階 『できない』ことを知っている状態(意識的無能)
第3段階 意識すれば『できる』状態(意識的有能)
第4段階 無意識でも『できる』状態(無意識的有能)

教わったことや学んだことの最初は第1段階からはじまる。この状況は別の言い方をすると『無知の無自覚』と言う。知らなかった自分に気づいた(自覚した)状態。ですからできるかできないかもわからない状態です。

できていなかった自分を知って、行動することで次は第2と第3段階を行ったりきたりする状態がしばらく続く。これは、過去の自分と葛藤している状態。過去の自分に戻るのであれば第2段階で終わってしまう。でもここでは教わったことを真似たことにはならない。

理想の自分を手に入れるために、第3段階を途中挫折してもいいので、諦めずにできるけ長く続けることだ。第3段階ができるようになってきたら、それを第4段階の無意識でもできるようになるまで循環させればいいだけだ。

第4段階の無意識でもできる状態になることを『習慣』という。物事が習慣として無意識でもできる状態になってはじめて『守』の段階は終了し、次のステージ『破』に進むことができるのである。

第1段階から第4段階までのサイクルを1度でも経験した社員は、その後は守の4つのサイクルを自分自身で回せるようになる。目の前の階段が4段とわかると人は登ってみたくなるものです。社長・上司が学びには4つのステップがあること、そして今あなたはどの段階にあることを伝えてあげることで大きく変わる。

なぜ、社員は環境の変化に抵抗するのか?

環境整備などの新しい取り組みをはじめ、なぜ、人は変化することをこれほど恐れ、抵抗するのだろうか?この答えは、実は生物の本能と関わっていると考えている。

全ての生物には”種の保存”の法則がある。これは自分が死なないで生きると言うことが最優先される生物の法則。自分が明日以降も生き残る、一番生存の可能性を高める方法は、昨日と同じことを繰り返すことなのである。これを繰り返すことが死なない可能性が一番高くなる。自分の縄張りから出ない。自分の行動パターンから外に出ない。これらのパターンが死なない確率を高める一番の方法である。

このことを”コンフォートゾーン(快適領域)”といい、人間にとっての快適領域はいつもと同じ生活パターンをすること。快適さは新しい展開と相反する。快適さは自己成長には繋がらない。だから、そもそも、生物はチャレンジすることを恐れていることがわかる。これらは生命の危機に関わるために本能で恐れている。

だから、行動したくても行動できない。行動しなくてはいけないと思っていても、行動できないのである。社内でもこの生物の本能が作用していることをまずは知る必要がある。

『なぜ、やらないのか?』と頭を抱えている社長が多くいるが、まずはやらないことが当たり前であることを受け入れることだ。

しかし、それを受け入れているだけでは、会社は成り立たなくなってしまう。会社の方針、社長の決定を実行する社員にするためにはどうすればいいのか?ここで環境整備の威力が発揮される。

環境整備の特徴は『やれば誰にでもできる』ところ

そもそも環境整備はモノの整理・整頓からはじまる。モノは生きていないから、自分の意思で動くことはできだから1つ1つ片付けることで、目の前の環境がどんどん整って行くことがわかる。そう。環境整備とはやれば誰にでもできることなのだ。

やれば誰にでもできることをやる。

目の前のモノ・環境が整いはじめる。(成果が出る)

自信が持てる。

変化を続けることで”快適領域”を広げることができる。

”快適領域”を広げることに快感を覚え、行動意欲が増す。

この一連のサイクルを体験させることができるのが、環境整備の最大の効果だと考える。”快適領域”が広がることを実体験することで、領域を広げることは難しくない、怖くないことを体に覚えさせる。この結果、仕事でも実行してみる、挑戦してみる姿勢が芽生える。これが環境整備が小さな会社を大きく変える、儲かる方法だと言われる所以だ。

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この記事を書いた人

金村 秀一

金村 秀一

100年塾塾長・社長コンサルタント

社員数30人以下のヒト・モノ・カネの悩みを解決するための成功し続ける社長の経営塾”100年塾”を主宰。

経営塾”100年塾”は、飲食業界に関わらず、様々な業界の社長が全国各地から参加している。経営計画書・環境整備・斜めの関係という再現性の高い道具を使って、社員がイキイキと働きながら、社長の決定をすぐに実行する、高収益体質の会社づくりをサポート、生産性が高い強い経営ができる。

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