高知にあるネッツトヨタ南国さまにベンチマーキングに行ってきました。
会社の目的は利益じゃない 誰もやらない「いちばん大切なことを大切にする経営」とは
(横田英毅・あさ出版 )
”幸せ”と”満足”は別物
今回の横田さんの話でも最も心に響いたのがこの話。
正直、経営者として今まで考えたこともなかった。
どの会社でも給与、賞与、公休、残業改善などに取り組み
「社員満足度を上げよう」という動きがあるが、
それ自体、そもそもピントがずれていることがわかった。
経営者が目指すべきは『社員幸福度を上げること』である。
社員満足度をどれだけ引き上げてもそれは一時的なもので、
すぐに次の欲求がはじまる。
しかし、満足の前に、幸せを満たすことで、
その先に満足も手に入れることができる。
会社を経営している以上、
社員とその家族が幸せにする責任がある。
目先の”満足”が、本来必要な”幸せ”を
遠ざけていることに気づいた。最高の収穫だった。
できる人とできない人の差は一体なんなのか?
今回一緒に参加した社長たちも興味があるテーマだった。
答えはとてもシンプルで、その差とは
『強い想い』があるかないかが大きな影響を与えているとのこと。
『熱意は経験より勝る』とも話をしていた。
それだけに、この会社では、新卒を積極的に採用し、
社内でのイベントなどでは積極的に若手にチャンスを与えて、
前向きな行動と熱い思いを体験させている。
多くの会社では、失敗するのを恐れて教えることに終始して、
体験を先送りにする。
『人は体験した気づきからしか学べない』この思想のもと、
体験重視で新人教育をしていることも会社を強くする原動力となっている。
良い会社を作るのには時間がかかる。
多数決禁止した徹底的な議論・話し合い。
全員が納得するまで何時間でも何回でも話し合いの場を設ける。
参加者からも
『どれくらいの時間かかりますか』という質問が出た。
○時間ぐらいだろうというある程度の予想は持っていたが
担当者からの回答は『数日かかる時もあります』。
そもそも『時間』ではなく『日』という単位が違った。
結論を決して急がないという文化・風土が根付いているために、
些細なことでも決定すべき事は徹底して話し合うという。
そういえば横田さんも話をしていた。
『多くの講演をしていると
「どうしたらこのような会社が作れますか?
そのコツを3つぐらいに絞って教えてください」
と言われるけど、それは私でも難しい事です。
良い会社を作るのには時間がかかる。
だから、コツコツ続けていくことが唯一のコツです』
と話をしていた。
100年以上続く会社というものは、
常に長期スパンで経営を見ている。
決して、短期的な判断をせずに、
時間をかけながら理想の会社を作り上げていく。
生産性を求められる現在の時代と逆行するかもしれないが、
かけるべき部分には徹底した時間をかけていると強く感じた。
駐車場の白線は思考を停止させる
今回のベンチマーキングで面白い話を聞く。
『駐車場には白線は一切引きません。
白線があると考えずに駐車するからです』。
車を保管しておく駐車場に白線は一切ない。
一見不便のように思えるが、
その時その時状況に応じて臨機応変に
対応できるようにするためとのこと。
白線があると何も考えずに白線の中に止めてしまう。
そのような環境を作らないことで、
常に思考することが求められる環境になっている。
『人は不便だと考えるようになる』
お客様が止める場所にも白線は一切ない。
『お客様困りませんか?』という質問をすると、
『そもそもお客様に駐車していただこうと考えていない』と言う。
ネッツトヨタ南国さんの社内には見える仕組みは本当に少ない。
代わりに見えない仕組み・考え方が
会社の文化・風土としてしっかり根付いている。
不便にする事でお客様との接点を見つける
ショールームにはいろいろな不便なモノが多くあった。
でもそれら全てにも理由があり
『不便にする事でお客様との接点を見つける』
という文化・風土のもとで動いているようだ。
例えば、ショールーム出入り口の
ドアは自動ドアではなく手動ドア。
さらにこのドアが大きくてかなり重い。
だから、お客様にこのドアを開けさせるわけにはいかないと
スタッフが走って対応している。
トイレの表札もやけに小さい。
これもトイレの場所がはっきりと表示されている事で
お客様は自らトイレに行く。
違った観点から見たら
『トイレはあちらです。ご自由にどうぞと言っているようなものです』と言う。
さらにショールームにはよくありがちな
テレビや雑誌が一切ない。
これに関しても、
『お客様に時間潰しはさせない』と言う考えのもと置いていないようだ。
これらの話を聞く事で、この会社のお客様に対する姿勢のレベルが
かなり高い次元であることがわかる。
この姿勢を全てのスタッフが持ち仕事を行なっている。
そして、その姿を見たお客様が感動し、
魅力を受け入れ商品を購入していることがわかる。
会社の目的は利益じゃない 誰もやらない「いちばん大切なことを大切にする経営」とは
(横田英毅・あさ出版 )