近藤宣之さんの『ありえないレベルで人を大切にしたら23年間連続黒字になった仕組み』を読み終えたのでご紹介。
「できていないところ」に注目せず、「できているところ」に注目する。
”人の行動の95%は「できている」行動だ。
しかし僕たちはたった5%の「出来ていない」行動ばかりに注目して
「できている」95%を無視してしまう。
これではエネルギーが湧くわけがない。”
社長は基本的にせっかちの人が多い。
そのために、社員の成長に関しても急いで育てようとする傾向が多い。
特に社員数が少なければ少ないほど、
社員一人あたりの会社・業績への影響力が大きいため、
なおさらその傾向が強くなる。
成長を急ぎすぎるために、多くのものを求める。
その結果、できていることとできていないことが出てくる。
この時に、できている部分に焦点を当てるのか、
できていない部分に焦点を当てるのかで、会社の雰囲気は大きく変わる。
俗にいう「北風経営」と「太陽経営」がこれにあたる。
ここの書かれている通り95%は上手く行っている。
こんな時は、5%のできていない部分を求めるのではなく、
次回の成長余力として期待するぐらいが
ちょうどよく人は育っていくものである。
ネガティブに注目せずに、ポジティブに注目する。
”ネガティブな感情を押し殺してはいけない。
無理矢理ポジティブなふりをしてはいけない。
自分がネガティブであることを見る。認める。
その上で、ポジティブの側面の方を長く見る。”
『金村さんは、いつもポジティブですよね』とよく言われる。
でも実はかなりの慎重派で、
だからこそ計画を立てるときは結構ネガティブなことも考える。
どれだけ慎重に計画を立てても、
想定外のことは起こることがある。
そんなときは『過去と他人は変えられない』と考えて、
ポジティブな考え方と行動をするようにしている。
考えても変わらないことに時間を使っていたら
その時間が無駄になるからだ。
本の中にあった
”ネガティブなことを見るけど注目しない”という言葉が
とてもわかりやすく心の響いた。
相手を勇気づけた勇気は循環する。
”1日1つ、毎日誰かを喜ばせるんだ。
勇気づけの声をかけてもいい。仕事を手伝ってもいい。
笑顔を向けてもいい。感謝の言葉を伝えてもいい。
毎日、誰かの心にガソリンを入れるんだ。”
わが社では『サンクスカード』というものが社内にある。
社内の仲間が行なった小さな行動に感謝するため道具だ。
私自身、社員数が少ないながらも年間で1,500枚ほどのサンクスカードを
素直な感謝の気持ちを持って書いている。
ただ、この本を読んでそのサンクスカードがもらった人の心に
ガソリンを入れているとは考えたことがなかった。
私も経験はあるが、心のガソリンが枯渇すると動けなくなる。
考え方をはじめ、行動自体も後ろ向きになる。
だからこそ、心のガソリンはできるだけ安定的に満たされておくべきである。
抜粋した上記の文章が今の社内には欠けていると思った。
だから、今朝の社内勉強会で『毎日誰かを喜ばせること』
という共通認識を全社員と共有した。
社員の心のガソリンを満たすことにこれからも時間を使っていく。
他人の課題に踏み込まない。
”キミが君なりの善意で「相手のため」と信じて
行動したのであればそれでいい。独り相撲でいい。”
本の中では主人公がカップを洗うか洗わないかのくだりがある。
私自身、”気にしい”のところがあるので主人公の気持ちがとてもよくわかる。
だから、この本の中でもこの部分が一番の収穫だったと言える。
自分が行なったある行動が相手にどのように思われるかは
この『課題の分離』の話によって解決される。
相手の課題に踏み込んではいけない。
相手から褒められること、認められることを求めることは間違い。
拒絶されても、無視されても、
自分なりの善意で相手のためと信じて行動することに価値がある。
この『課題の分離』が心の中で実践されることで、
さらに前向きな行動をしていくことができる。
行動し続けるためにもこの収穫は大きい。
まとめ
アドラーの本はこの本で4冊目となる。
これまでの3冊は中々腹に落ちるところまではいかなかった。
だから、行動に移せることも少なかった。
でもこの本では12の教えに絞って、
わかりやすくストーリー形式で展開されている。
多くを求めずにテーマを絞ってわかりやすく書いていることもあり、
心にも響き、行動にも落とすことができる。
本を読んで勉強になったでは何も未来は変わらない。
『良書』とは、明日から実践できる
新しい何かが書かれていることだと思っている。
そう考えると、悩みの多い社長やリーダーにこの本を勧めたい。
この本を読むことで心の安定と対人関係が
より向上することができるのではないだろうか。
ありえないレベルで人を大切にしたら23年連続黒字になった仕組み
(近藤宣之著・ダイヤモンド社)