中小企業の資金調達を円滑にする方法③【銀行の常識・非常識】

金村
社長が考えている銀行の常識は、銀行の非常識に当たるものが多くあります。それを事前に知り、対応することで、銀行とビジネスパートナーとして良好な関係が築けます。

担保価値は銀行によって変わる

担保価値が銀行によって変わることを多くの社長は知りません。

5,000万円の土地の担保価値は、都銀で3,500万円(0.7倍)、地銀で7,500万円(1.5倍)、信用金庫なら1億円(2倍)まで貸してくれる可能性があります。

もちろん、貸してくれる金額に比例して、金利は当然高くなっていきます。

社員数の少ない小さな会社が、都銀に軸足を置いて経営することを薦めない理由は、このような担保価値を考えてみてもわかります。

金利は高くても、金額が借りられる銀行を優先する。

これが中小企業にとっての融資を受ける際の正解です。

定期的な銀行訪問のやり方

銀行訪問は四半期に1度のペースで行います。

訪問時には、まずは数字を経営計画書に沿って報告します。

売上、粗利益、人件費などの実績と累計を口頭で伝えます。

そして、数字の報告が終わったら、以下の順番で報告をします。

会社の現状→今後の事業計画→他行の融資状況。

融資してくれている銀行は大切なパートナーです。

情報は、良いことも悪いことも報告するのが基本です。

ただし、悪いことは先に、良いことは後に報告します。

人は最後に聞いた話が印象に残るため、話す内容は同じでも順番を意識するだけで、支店長や担当者の心証は変わります。

この報告を、どの銀行に訪問しても同じように行います。

同じ内容を報告することで、銀行の対応の差に気づきます。

自社に対する銀行の方針や姿勢を確認することができます。

銀行訪問が社長の『信用残高』を高める

銀行から見た優良な会社とは、貸した金額を期日までに確実に返済して、かつ金利を払ってくれる会社です。

ですから、銀行が融資をする時に担保を取るのは、社長が信用できないからです。

本来、銀行は優良な会社には融資をどんどんしたいと考えています。

ただ、世の中の中小企業で、このような優良企業を探すのは難しい。

だから銀行は根抵当をつけたり、個人保証を取ったりします。

このようなことを銀行は考えているにも関わらず、融資を申込む時にだけお願いをして、融資が承認された後は報告もしない社長がほとんどです。

お金を借りたら、お金の使い道や状況を報告するのが当たり前です。

小学生がお母さんからお小遣いをもらったら、報告するのと同じです。

大切なことなので、繰り返しお伝えします。

銀行からすれば、貸したお金がちゃんと返済してもらえるのかを心配しています。

だから、担保や連帯保証人で個人保証が取られています。

定期的な銀行訪問をして報告を繰り返し、銀行に対する信用残高を高めることです。

繰り上げ返済はしてはいけない

資金調達の基本は、金利が多少高くでも、返済期間は長くすることです。

でも、社長の多くは、金利を意識するばかりに、返済期間を短くします。

その結果、資金繰りが厳しくなります。

さらに、このように考える社長に限って、繰り上げ返済をしたいと考えます。

資金に余裕があったとしても、繰り上げ返済をしてはいけません。

なぜなら、繰り上げ返済をすることで銀行が損をするからです。

経営が厳しい時は融資をお願いし、業績が良くなった途端繰り上げ返済をするのは都合が良すぎます。

会社と銀行はパートナーですから、自社の都合だけで繰り上げ返済をしてはいけません。

約束した通りの約定内容で返済を続けるのが基本的なルールです。

 

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