『正面の理・側面の情・背面の恐怖』が潰れない強い会社文化をつくる理由。

金村

100年塾の塾生企業の経営計画発表会が続きます。経営計画発表会とは、今期の経営方針を経営計画書にしたため、社員と来賓の前で社長が言葉で発表する重要な会社行事です。この発表会で、『仏』の経営計画書に『魂』が込められます。潰れない会社は『正面の理・側面の情・背面の恐怖』の3つのバランスを保ちながら、強い会社文化をつくっています。

方針は繰り返すことで上手くなる

塾生企業の社長たちは、毎年決算前になると山にこもり、ソフトを使って来期の経営計画書を作成しています。経営計画書に書かれている内容は、80〜90%が前期の内容を引き継いでいます。

経営とは、そもそも90%が昨年と同じことを繰り返しているため、方針内容が大幅に変わることがないのが理由のひとつだ。

さらに、人は初めてのことは誰でもうまくいきません。繰り返し続ける過程で初めて上手くなります。

ですから、方針内容もその原理原則にのっとって、大部分が方針継続の形をとることが望ましいのです。

正面の理・側面の情・背面の恐怖

会社の方針を経営計画書に文字にすることで、『人を動かすための3要素』と言われる『正面の理・側面の情・背面の恐怖』を実践することができます。

『正面の理』とは、理論的に丁寧に道理にあった付き合いや指示を出すこと。
『側面の情』とは、愛情を持って声をかけたり、世話を焼いたりすること。
『背面の恐怖』とは、怠けた場合にどうなるかを示し危機感を煽ること。

3つの順序とバランスが人を動かす

これらの意味も重要ですが、それ以上に大切なことは、この3つの優先順位です。

あくまで最初に来るのは『理』であり、順番は必ず『理』『情』『恐怖』。

どれかが抜けたり、順番が違ったりするとバランスが崩れ、人は動いてくれません。

『理』の社長の特徴

『理』が強めの社長は、権限と方針だけを振りかざして経営をしようとしますが、それで一時的に人が動いたとしても、徐々に社員の気持ちは離れていきます。

そもそも人は感情で動くものなので、一歩を踏み出す『情』と背中を押される『恐怖』が必要です。

そのため、『理』ばかりのタイプは人望が薄く、リーダー向きとは言えません。

『情』の社長の特徴

『情』が先行する社長は、社員から人気はあっても根本的な解決ができない傾向が強い。

『理』に沿っていなければ社員から人気があったとしても、社員はついてきません。

『情』ばかりのタイプは、危機的状況の時に頼りにされないばかりか、無視されることさえあります。

『恐怖』の社長の特徴

『恐怖』を真っ先に出す社長は、社員は一時的に従うかもしれません。

しかし、『理』や『情』で動く社員から反感を買うことになり、いざという時に敵対することになります。

目指すべき理想な組織

3つの要素を順番通りにバランスよく整えることで、組織を動かすことができます。

その過程で『理』で動く社員を最も評価し、昇進させられる組織にすることです。

それが会社の文化となることで、最終的には『情』や『恐怖』を与えなくても、『理』だけで動く理想の組織ができあがるのです。

社員の本質を見抜く

リーダーの心構えを示した言葉ですが、社員がどの過程で行動するかで社員の本質を知ることもできます。

『理』で動く社員

『理』で動く社員は、『正しい人』であることが多い。

『情』で動く社員

『理』だけでは動かない社員には『情』を与えます。

『情』とは、その社員に対して『得すること』があるという側面もあります。

『情』で動く社員は、『自分に利益があれば動く人』です。

『恐怖』で動く社員

『情』でも動かない社員には『恐怖』を与えます。

『恐怖』とは、その社員に対して『損すること』があるということです。

『恐怖』でしか動かない社員は、『何事にも積極的に関わろうとしない人』です。

全ては『理』からはじまる

あくまで最初に来るのは『理』であることを忘れないことです。

にも関わらず、『理』が文字と数字で共有されている会社が少なく、そのためにバランスが取れずに安定しない経営を続け、苦しんでいる社長が多くいます。

100年塾で指導している経営計画書にはこの3つがしっかりと書かれています。

『理』は各種方針として、『情』は血の通う経営として、『恐怖』は信賞必罰として。

これらを会社のステージに合わせてバランスを考えながら、順番通りにウエイトをかけていくことで、人が動き出し、組織が強くなり、潰れない会社が創られるのです。

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