マラソン・グランドチャンピオンシップ
写真出典:鈴木七絵/文藝春秋
MGC(マラソン・グランドチャンピオンシップ)が15日(日)に東京で行われた。
東京オリンピックのマラソン日本代表の内定をかけて、男子選手30人、女子選手10人が参加。
コースは、ほぼ東京オリンピックと同じコース。
選手を応援しようと沿道に駆けつけた人の数は、約52万人。
選手にとっても、日本陸連にとっても、
『仮想東京オリンピック』が実践できたことは大きな収穫。
最終的な結果は、男子は1位が中村匠吾選手、2位が服部勇馬選手。
女子が1位が前田穂南選手、2位が鈴木亜由子選手。
この4人の東京オリンピックのマラソン日本代表の内定が決まった。
僕が応援していた大迫傑選手は、惜しくも3位に終わった。
写真出典:スポニチ
本気の姿は人の心に響く
写真出典:AFLO
実は、マラソン選手たちが年間に参加する大会数は年間2本程度。
そのようなことから、これだけのトップランナーが一緒に走る大会はまずない。
だから、一緒に走ったのが今回が初めてという選手が多かったようだ。
そのような環境の中、個性の違う30人の選手たちが、
オリンピック内定の2枠を賭けて本気で戦った姿は、
本当に美しかったし、心を打たれた。
ゴール時の気温は29℃。
正直、フルマラソソン42.195kmを全力で走る環境ではない。
すべては『仮想東京オリンピック』のための環境設定であり、
過酷な状況の中走りきった選手たちに、最大の賛辞を送りたい。
強みを武器に変えた中村選手
写真出典:杉山拓也/文藝春秋
個性の違う選手たちが、自分の強みを活かしたレースをするために、
駆け引きをしている姿は、学ぶべきものが多かった。
特に優勝した中村匠吾選手は、めっぽう暑さに強い選手。
もともと、体に溜まった熱を外に逃す能力が高く、
そのため体温が上がりづらく、高いパフォーマンスを維持できる選手。
一緒に動くチームスタッフは、中村選手と一緒にいると
夏も冷房を入れさせてもらえないことが悩みというほど。
寒さに弱く、暑さに強い中村選手にとっては、
昨日のような環境は願ったり叶ったりと言える。
また、ラスト2㎞からのラストスパートにも自信を持っている選手。
そのようなこともあり、MGCでは残り3㎞を切ったところでスパート。
この動きに関しても、自分の強みを最大限に活かし、それを徹底して優勝を勝ち取った。
不公平な環境の中勝利する技術
僕が主宰している経営塾で課題にしている映画に『マネーボール』がある。
マネーボールは邦題であり、実際のタイトルは『不公平なゲームに勝利する技術』である。
そもそも、経営の環境は、会社ごとに全く違う。
勢いはあるが、財務体質が弱い、創業社長が率いる会社。
財務体質は強いが、一体感が乏しい、2代目3代目社長の会社。
地場の地域で圧倒的なブランド力がある、地域の老舗企業。
10社10色の経営環境があると言える。
磨き抜かれた強みは最高の武器になる
そのような環境に不平不満を言ったところで、何もはじまらない。
自社の強みと弱みを徹底的に分析をして、
弱みを強化する経営ではなく、強みを徹底して磨きをかける経営をする。
その結果、キラリと光るものがつくられ、お客様から支持されるようになる。
このように、不公平な環境の中でも、自社の強みを徹底して活かすこと。
今回のMGCのレースを見ていて、その重要性を再確認したことと、
徹底して磨き抜かれた強みは、武器になることを改めて感じた。