いつもはノンフィクションを中心に観ている映画。気になっていた映画『バッド・ジーニアス』を観ることができたので、個人的な感想をまとめてみた。
映画・バッド・ジーニアスとは
この映画は、ある実話から誕生している。
2014年の米国留学への条件となる大学進学適性試験(SAT)で、中国と韓国の学生によるカンニングが発覚した。それも集団でのカンニングである。その手口として、時差の関係で数時間早く実施される外国の試験会場から、雇われた受験生が試験問題を携帯電話で連絡係に伝える組織的な手口が各国で報じられたことでも有名。主導していたのは受験予備校であった。
これらの実話をモチーフに、かつては学園ドラマのネタにしかならなかったカンニングを題材に、スタイリッシュな映画に仕上がっている。
上映映画館が少ないことが残念
映画自体はとても良くできていた。テーマが『カンニング』とシンプルで誰にでもわかりやすいからこそ、次の展開を『自分だったら』と置き換えることもできた。これだけ壮大なプロジェクトを実行する覚悟は、学生ではなく大人であってもなかなか持てないだろう。あとが無くなることで、人はこれだけの覚悟を持って大胆な行動ができるものかと思った。
映画自体は効果音やBGMが効果的に使われていることもあり、とても臨場感があった。この映画を作った監督がバンコクの監督でなければ、セリフも全て英語になり、配給先も増え、興行収入も増えたと思える。
経営で『良い商品が売れるのではなく、たくさん売れた商品が良い商品である』と同様に、『良い映画が観られる訳ではなく、たくさん観られた映画た良い映画』なのだと感じた。映画が良くできているだけに、上映している映画館が少ないことが残念。
カンニングは悪いことではない
映画設定が高校生になっているために『カンニング』は悪いこととされている。でも、カンニングは決して悪いことではない。悪いのは、法律・規則・ルールを守らないことにある。だから、カンニングをして怒られるのは、学生のうちだけだ。
幼稚園までの子供の頃は、あらゆることを真似ながら上手くなっていく。親がやっていることを真似をして覚えていく。なにかを上手くやっている友達がいれば、覗き込み、真似をすることで成長していく。そして、上手く真似ができることで褒められる。
社会人になるとカンニングが上手い人は、真似が上手く、仕事ができる。どれだけ早く新鮮な情報を掴み、その目で確認(カンニング)をし、取り入れることができるか。他社が成果をあげていることを真似ることで、自社の成果に転換することができる。仕事ができる人の典型と言える。
このように考えてみると、今回は試験または受験のルール違反をしたことに問題であり、カンニング自体はそれほど問題ではない。むしろ、カンニングというプロジェクトを通じて、たくさんの人を巻き込んむリーダーシップは素晴らしいものがあった。
答えを見せ合うことで正解に辿り着く
この映画の中でのカンニングは組織的なものだった。主人公が一人だけで行うのではなく、多くの人を巻き込みながら、仲間と一緒に協力しながらカンニングを実行した。
これを仕事に置き換えて考えるとやはり『カンニング』は素晴らしい。なぜなら、仲間と協力しながら答えを見せ合うことで、正解を導き出すことができるからだ。ひとりでテストを行えば満点を取れる確率は減るが、全員でテストの問題を解き、答えを見せ合うことで満点を取れる確率は大幅に上がる。
会社は組織で動いている。決してひとりで仕事をしてる訳ではない。会社には社長がいて、社員がいる。そして、先輩や後輩、同期などの仲間がいる。組織で動いている以上、ひとりで仕事をしてこじんまりとした成果をあげるよりも、全員が協力して知識や知恵を共有することで、より大きな成果を上げることができる。これこそ、組織で何かを成し遂げる醍醐味と言える。
新宿武蔵野館
この映画は、東京では新宿と有楽町でしか上映していない。ということもあり、新宿の『新宿武蔵野館』に初めて行ってみた。こじんまりとした映画館ではあるが、待機するロビーも小綺麗にしてあり品があった。
スクリーンは大きくはなく座席数も少ない。シートは背もたれが高くとても座りやすい。柔らかめに作られているが2時間超の映画を見ても疲れない。席を取るのであれば前から3列目ぐらいがベスト。TOHOシネマズなどだったら確実に首が痛くなるが、この映画館なら心配ない。ただ、画面サイズが大きくないので、中央寄りの席を取らないと斜めから見ることになりそうだ。
チケットの事前予約もできるので、気になる映画があれば事前予約がオススメ。