社内の生産性を高めていく時に仕事の棚卸しをすることがあります。
仕事の棚卸しとは、今社内で行われている業務全てのタイトルと所要時間をポストイットなどを使って明らかにしていくことです。
この仕事の棚卸しを進めていく途中で、あることに気づくことが多くあります。
それは、棚卸しした仕事の時間をどう合計しても勤務時間に達しないとうこと。ひどい時は、勤務時間の半分の4時間程度にしかならない時も多くあります。
これが何を意味しているかというと、意識していない無意識でアタリマエに行っている業務が多く存在していることを意味しています。
「計測は改善する」という言葉があります。計測できるものは、必ず改善に向かうということです。
たとえば、体重を減らしたい時にはまずは体重計に毎日乗り、体重を数字で計測することです。数字ではっきりすることで意識が向かい行動が変わりはじめるというものです。
数字ではっきり意識することで一歩一歩確実に改善に向かいます。
レコーティングダイエットなども同じです。私の会社では、レコーディングダイエットを参考にして、仕入した商品をレコーディングして、飲食店舗の原価率を基準値以内で収めることに成功しています。
無意識で行っている定義ができない業務は、計測することはできません。計測できない業務は、改善することはありません。
仕事の棚卸しをした時に、「これおかしくないか?」と思った業務を、どうやって計測するかを定義し、計測を開始することで改善は50%終わったと言っても過言ではありません。
なぜ、計測しはじめるだけで改善が進みはじめるのだろうか?
なぜなら、人にはそもそも上手くなりたいというDNAがあるので、計測した数字よりも早く、上手く、次回からやってみようという前向きな気持ちも生まれ、改善が進むためです。
仕事の棚卸しや業務改善をする時に、「結構多いです」「すごくいます」「ほとんどです」などのあいまい語が出てきたら、社長ははっきりと「数字で言うとどれくらい?」と聞き返し、形容詞や副詞などのあいまい語を使う社内文化を撲滅していくことで、嘘のように業務改善は進みます。
私の会社は少数精鋭で経営していくという方針があるため、少人数の社員で強い経営をしています。
そんな中、本社勤務の社員たちから「営業や代表宛の電話が多く、業務をいちいち止めることになって、仕事がなかなか進みません!」ということを言われたことが過去にあります。
「1ヶ月でだいたいどれくらいあるんだ?」と確認したところ、「数えられないくらい結構あります!」というので、仕方なくコールセンターへのアウトソーシングすることにしました。
コールセンターの料金は、基本的に○○本まではいくらというように電話対応した本数で価格が決まりますから、しっかりとその本数をカウントします。
そして、アウトソーシングを依頼して初月が終わってコールセンターからの報告書を見てびっくり!1ヶ月でかかってきた電話の本数はたったの36本でした。一週間で9本。出勤ベースに直すと1日1.4件程度です。
社員たちが言っていた「数えられないくらいあります!」というのは、実際は、数えていなかったという意味でした。
このように社員一人一人の時間の受け取り方は十人十色です。生産性が低い会社に限って、このような「結構」「すごい」「ほとんど」「たくさん」などのあいまい語が使われている傾向があります。
あいまい語ではなく、数字ではっきりさせることは、何がムダで、何をどれくらい改善すべきかを考える貴重な材料になります。
あいまい語は計測して数字に置き換える。計測することで確実に改善に向かう。このサイクルを社内で回すことで業務改善は着実に進みます。