私は、「趣味は仕事です」と答えるほどの根っからのワーカホリックですから、前向きなハードワークは自己成長に繋がると考え長時間労働も厭いません。
これまでは、その姿勢で長い間会社経営をしてくることができましたが、時代の変化がそれを許してくれなくなりました。
長時間労働は会社にとっても社会にとても大きな問題だと認識されるようになりました。確かにそれは「良いことではない」という意味では問題です。
しかし、解決すべき問題は「長時間労働」なのかと言えば、そうではありません。解決すべき問題は「長時間労働」ではなく、「社員の生産性が低い」まま放置されていることです。
もしくは、売上や利益を伸ばす方法として、社員をより長く働かせる「長時間労働」以外の手段を思いつかない社長の意識や、それ以外の方法では付加価値を生み出せない古いビジネスモデルへの執着こそが、本来解決すべき問題なのです。
「解決すべき問題は生産性をあげることだ!」
と社長が意思決定をし、経営革新や継続的な改善を通して、仕事の生産性を高めれば、結果として長時間労働は解消されます。
しかし、社長自らが新たな変化を社内に起こさず、時代の変化に合わせた対策を講じずに、目の前に起こった仕事に対応する経営をし続けてきた結果、生産性が軽視され、労働集約型の会社ができあがります。
このような会社では、社長自身が長時間の業務をしいられ、本来社員がやるべき通常のオペレーション的業務に忙殺され、新しいアイデアに投資する時間や資金、そして、何より大切な気持ちの余裕を十分に確保することができていません。
生産性を向上させるためには、まず社長が「生産性をあげる!」という強い意思決定を行い、覚悟を決めることからはじまります。
社長の覚悟なしに自然と生産性が上がることはありません。そして「2%と2割」という2つの生産性向上を習慣化することです。
生産性を上げる方法には、「効率的」改善と「効果的」改革の2つがあることは以前に書きました。
2%の生産性の向上は、幹部社員を中心に行う効率的な改善によって達成すべき目標で、2割の向上は、社長が行う改革によって達成すべき目標です。
全事業の80%超の割合を占めるサービス業での2%の改善なら、オペレーションの重複や順番などの作業工程を見直し、2割の改革となれば、時代の流行りに合わせた新商品・サービスを導入することで達成することもできます。
社長が行うべき改革は、現場の社員が実現できる2%の改善とは異なり、2割もの生産性改善を実現するには、社長の強い覚悟とリーダーシップが必要で、長期的な視野や計画性、リスクをとる決断も求められます。
「生産性の向上は、そもそも社長が考えるべきことであって、自分には関係のない仕事だ」と考え、通常のオペレーション的な仕事に幹部社員が専念している会社が多くあります。
小さな会社は、社長一人で変わることはありません。ですから、社長一人でどれだけ勉強をしても生産性は変わりせん。
社員、特に幹部社員を巻き込み、時と場所を共有し、価値観を合わせ高めることで、「2%と2割」の2つの生産性を高めることができるのです。