近江商人に代々伝わる『長者三代鑑』

金村

2021年の02/52WEEKSが終了しました。
100年塾も気がついたら2代目・3代目の社長が増えてきた。近江商人に代々伝わる『長者三代鑑』の話を聞いたのでブログでシェアさせてもらいます。

長者三代鏡(ちょうじゃさんだいかがみ)

 

『長者三代鏡』
一番下の段は、懸命に働いて一家を成した初代創業者の図。
中段は、初代の残した余徳の上に茶の湯の遊興に熱心な二代目の図。
上段には、二代目の道楽のために、身を落とした能筆(書が得意)な三代目が、犬に吠え立てられさまよっている図。
広辞苑には『長者三代』は下記のように書かれている。
苦労して財を蓄えても、その子までは遺風を守るが、孫の代になると富貴の中で贅沢となり、ついに家産を傾けるから、長者の家は3代よりは続かないということ
※遺風=昔から伝わっている習慣・風習。先人の残した教え。
※富貴=富も地位もあること。金持で身分が高いこと。
おそらく初代が子孫たちの行く末を案じて、掛け軸に描かせたものとされている。
先祖の恩を忘れて放蕩な生活をしていると、子孫は乞食のように落ちぶれてしまう。
創業者の苦労を忘れずに節約を心掛け仕事に励みなさいと諭されている。

目に見えないことに重きを置く経営

この話を聞いて想うことは、

『目に見えるものは時間と共に減衰し、
 目に見えないことは時間と共に増幅する』

ということ。

このような戒めが掛け軸という形で残されていることは素晴らしいこと。

言葉は薄れていくが、掛け軸を見るたびに思い出すことができるから。

でも、それよりも重要だと考えていることは、先代と一緒にどれだけの時を過ごしたかということ。

中小企業の世代交代はなかなか上手くいかない

中小企業の世代交代はなかなか上手くいかない。

なぜなら先代からは2代目・3代目がまだまだ頼りなく見え、

2代目・3代目は先代を時代遅れと軽視して、自己流の考えを押し通すから。

 

まずは2代目・3代目の社長が先代をもっと敬うべきである。

先代の考えていることやっていることが時代に合っている、合ってないなどではなく、

やりたいことがあれば、お伺いをたて、何度も足を運び、先代の許可を取り付けるべきだ。

それぐらいの覚悟がなければ、そもそもやっても上手くはいかない。

そして、先代は頼りなく心配だからこそ、

先代が元気な間にたくさんの失敗や痛い想いをさせるべきである。

そして、失敗や痛い想いをした2代目・3代目にアドバイスを一言してあげてほしい。

失敗や痛い想いの数は多い方がいい。

その数が多ければ多いだけ、人は素直になれるから。成長が加速するから。

素直になった人間の吸収力は驚くほど早い。

だからこそ、先代・2代目・3代目が繁栄し続けるためには、

『教え』『考え方』『価値観』など、

目に見えないことをどれだけの時間をかけて共有できるかにかかっている。

 

最後に、掛け軸には写っていないが、

経営は社長だけではなく、社員とその家族の人生も背負っている。

僕たち社長が背負っているものは、想像以上に実はかなり大きい。

だからこそ、寝食を忘れて、謙虚に経営に努める必要があると考えている。

 

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