『怒る』と『叱る』の違い
『怒る』
自分の感情の赴くままに相手を責めること。
育成や指導という目的よりも感情が優ってしまっている状態。
そのため、往往にして相手の人間性を批判・否定してしまう。
『怒る』ことで問題は解決しないのに、解決した気分になることが最大の問題。
『叱る』
相手の間違いを『どこがどのように悪かったのか』を具体的に指摘し、相手に納得させる。
2度と同じ間違いをしないように育成・指導する。
『叱る』ときの3つのポイント
つまり『怒る』は感情的で、『叱る』は具体的です。
『怒る』は、自分の感情表現をしているだけで、相手の成長のことなど見失っている状態です。
『叱る』は、感情をぶつけるのではなく、失敗に対して、
『なぜそうなったのか』『どうするべきだったのか』
などの気づきを与え、相手の成長を望んだ上での叱責です。
そして、叱るときのポイントは、次の3つです。
①『ヒト』ではなく『コト』を叱る
相手の間違いを指摘するときは、その場で事実を指摘し、事実を叱り、事実に基づいて軌道修正をします。
事実に基づいた育成・指導は『何が問題だったのか』『どこをどう改善すればいいのか』が明確です。
『いつになったらできるの?』
『いつも遅いんだよなー』
『本当に仕事できないよな』
これらの発言は全て『コト』ではなく『ヒト』に対しての発言であり、人間性を否定している『人格責め』をしています。
②お酒を飲んでいるときは叱らない
お酒を飲んでいるときに部下を『叱る』と、最初はコトを叱っていたものの、お酒が進むにつれて感情の抑制が難しくなって、『叱る』が『怒る』に変換されてしまうことがあるからです。
お酒が入ると論点がブレやすくなるため、お酒を飲んでいるときに仕事の指示や指導はしないことです。
言った方も、言われた方も、あやふやになりトラブルになることも多いからです。
③『叱る』タイミングで、相手を認める
コミュニケーションができていない、相手から認められていない状態で叱っても、相手に響かせることは難しい。
お互いに認め合う信頼関係ができた上で、注意したいポイントを具体的に『叱る』ようにします。
まずは相手の頑張っていること、努力していることを『認める』ことをした上で、『叱る』ことです。
大人でも、子供でも、ヒトは『認めてもらいたい』という承認欲求があることを忘れないことです。
叱れない人を幹部社員にしない
私は、部下を叱れない・叱らない社員を幹部社員にすることはありません。
部下を叱れない・叱らない理由は、部下からよく思われたいという心理が働いているからです。
その結果、部下が失敗をしても見て見ぬ振りをして、組織が弱体化していきます。
叱るべき事実はきちんと叱り、組織を機能させるのが幹部社員の仕事です。
部下との関係性が悪くなることを恐れて叱らないのは、幹部社員の職務怠慢にすぎません。
もし、叱った後にギクシャクしているとしたら、
『叱っているのではなく怒っている』
『「コト」ではなく「ヒト」を叱っている』
からです。
関係性をしっかり築いた相手に、事実に基づき、具体的に叱っていれば、人間関係が壊れることはありません。
『ヒト』ではなく『コト』を事実に基づき具体的に育成・指導することです。