金村
社長は仕事で、『決断』という意思決定を毎日し続けています。『決断』とは考えても答えがでないことをどうするか決めること。ですから、迷うことも当然あります。100年塾では、そんな『迷社長』をどのようにして『名社長』しているのでしょうか。
『やりたいこと』より『やるべきこと』を明らかにする
100年塾の経営塾では2泊3日の合宿が4ヶ月間行われます。
プログラムは朝5時半から22時までびっしり組まれていて、集中して経営を考えてる濃い時間ということもあり、時間が過ぎるのがあっという間です。
100年塾は、成功し続ける会社にするためには、まずは社長が変わる必要があると伝えています。
その上で、”やりたいこと”ではなく、”やるべきこと”をどのタイミングでどのようにやればいいかを各会社別にアドバイスをしています。
そのために、経営塾開催前に会社訪問を必ず行い、会社の現状や雰囲気、抱えている課題などを明確にしてから進めています。
学んだことをすぐに会社でやるから上手くいかない
100年塾に社長が参加すると、どうしても会社に帰ってから教えてもらったことをすぐに会社ではじめようとしてしまいます。
そんなこともあり、初めて参加している1年目の社長には、『◯◯さん、今やったら上手くいかないからやったら駄目ですよ』と話をしています。
社内に成功し続けるための新しい文化を導入して、習慣化するためには順序があるのです。
この順序を無視して行うことで、社内の変化スピードは遅くなります。
もし、少しでも早く会社を変化させたければ、最初は社内を巻き込まずに、社長自身が変わることに努めることです。
改革の順序を無視して、社員が退職した苦い過去
この順序を守らないとせっかく上手くいくものも上手くいかなくなります。
実は塾長をしている私自身が、この順序を守らなかったためにこれまでに一番失敗をしてきています。
順序を間違えて、しかもそれを修正することなく推し進めてきたからこそ、流さなくていい血(社員の退職)を流してしまった経験があります。
100年塾に参加している社長たちにはこの過ちを繰り返して欲しくないからこそ、正式な入塾が決まると塾生が北海道の倶知安であっても、九州の佐賀県であっても、必ず自分の目で会社を訪問し、先代への挨拶はもちろん、社員に声をかけ、社内の雰囲気を確認しています。
そして、どのような順序で導入することで、この会社は成功し続ける文化が根をはることができるかを考えています。
どこにでもいる実践しない『迷社長』
ここまでは、学んだことをすぐに実行してしまう社長でした。実は、逆のパターンも存在します。
せっかく塾に来ているにもかかわらず、いろいろと社内の理由を言って行動しない社長もいます。
みなさんはこんなイギリスのことわざを知っていますか?
”馬を水辺に連れていくことはできても、水を飲ませることはできない”
せっかく成功し続ける会社をつくるための再現性の高い道具は100年塾に揃っているにも関わらず、それらを使おうとしない。
これは私がいくら手を替え品を替え伝えても社長は全く動きません。
逆に社長は、しつこくされればされるほど動きません(笑)
では、馬に水を飲ませるように、社長に実践してもらうためにどうすればいいか。
馬喉が乾くまで待つ、気がつくまで待つ。これしかありません。
単純な答えかもしれませんが、アドラーも言っているように水を飲むか飲まないかはそれは相手の課題であって、こちらの課題ではないからです。
同志の『斜めの関係』が『迷社長』を『名社長』にする
でも、そう言っていては、せっかくの時間とコストを使って参加してくれているお客様に申し訳ありません。
ですから、馬に例えれば、水が飲みたくなるような状態にする。
暑い場所を歩かせるとか、長い距離を歩かせるとか。
その結果人間が連れていかなくても、どこに水があるかさえわかっていれば、勝手に水を飲んでくれます。
ではこれを社長に置き換えると、一緒に学んだ同志の社長たちが実践して、社内のコミュニケーションが良くなり、業績などの成果も変わりはじめるなどの報告を受けます。
100年塾では同志の成功体験を横展開しています。
同じことを学んで、しかも、自分も一歩踏み出せば再現性が高い道具を使って、同じ成果をあげることができる。
あとはその一歩を踏み出す『勇気』があるかどうか。
社長という仕事には『勇気』が欠かせない
この一歩を踏み出す『勇気』の部分だけは、私が強制してやらせないと決めています。
なぜなら、社長という職業、しかも、小さな会社の社長には想像もつかないようなことがこれから先も起こります。
それでも、毅然と胸を張り、社員とその家族を守るために『勇気』ある意思決定をし続ける必要があります。
今は私が一歩踏み出させてあげることは簡単です。
でも、守らないといけないものがある立場の人が、そのような状態では会社はいつ駄目になるかわかりません。
だからこそ、厳しいかもしれませんが、一歩を踏み出す『勇気』を自ら持つことは自分自身でする必要があるのです。
金村が考える社長への『親切』とは
常々言っていることですが、私は経営コンサルタントではなく社長コンサルタントです。
社長が私の元を離れても、成功し続ける会社の文化と、その中で生き生きと活躍してくれている社員たちと一緒に、お客様に無くては困ると言われる会社になってもらうために、塾長として経営のサポート・アドバイスさせてもらっています。
これが私なりに考える本当の意味での社長たちに対する『親切』なのです。
※親と縁を切っても生きていけるようにする意味。
※親と縁を切っても生きていけるようにする意味。