社長の9割がB/Sを見ていない
私は100年塾を通じて、これまでに800社を超える会社の経営指導を行ってきました。その経験から、多くの中小企業の社長たちが決算書、特にB/S(貸借対照表)の重要性を見逃していることに気づきました。実に9割の社長がB/Sをほとんど見ていません。
P/L(損益計算書)は確かに重要です。売上や利益など、会社の業績を示す「過去の結果」が一目でわかりやすくまとめられています。しかし、P/Lだけでは会社の現在の財務状況を完全に把握することはできません。例えば、「今、会社にいくらの現金があるか」という重要な情報はP/Lからは読み取れません。
ここで、B/Sの重要性が浮かび上がってきます。B/Sは会社の「現在の姿」を映し出す鏡のようなものです。以下のような重要な情報を提供してくれます。
1. 会社に今、現預金がいくらあるのか
2. 売掛金や在庫がどれくらいあるのか
3. 自社の流動性は高いのか?低いのか?
4. お金がどのように動いているのか
これらの情報は、健全な資金繰りを維持する上で極めて重要です。例えば、売上は好調でも現金が不足している場合、B/Sを分析することでその原因(売掛金の増加や過剰在庫など)を特定し、適切な対策を講じることができます。
P/LとB/Sは、会社の財務状況を理解する上で両輪の関係にあります。P/Lが社長と社員の努力の結果を数値化したものだとすれば、B/Sはその努力がどのように会社の資産や負債に反映されているかを示しています。
経営は現金に始まり、現金に終わる
潰れない強い経営をしている中小企業社長は、必ずと言っていいほど自社のB/Sをしっかり定期的にチェックしています。なぜなら、B/Sには会社の隠れた課題や、さらなる成長のヒントが眠っている可能性があるからです。経理担当に丸投げするのではなく、自らB/Sを読み解く習慣をつけることで、より深い経営洞察が得られます。
私たちが主宰する実践経営塾「100年塾」では、最終講で自社の数字を使いながら、中期5ヵ年のB/Sの推移をオリジナルソフトを使ってチェックしています。これを繰り返し繰り返し行うことで、数字が苦手な社長やB/Sがわからない社長でも、B/Sを理解することができています。
早めの対策が会社を守る
財務諸表は難しいものではありません。むしろ、あなたの会社の健康状態を示す「健康診断書」のようなものです。定期的にチェックし、必要に応じて早めに適切な「処方」を行うことで、会社の持続的な成長と安定した経営を実現できます。
B/Sを活用した経営戦略の立案は、中小企業が大企業に負けない競争力を維持するための重要なツールとなります。ぜひ、この機会にB/Sの重要性を再認識し、自社の財務状況をより深く理解することから始めてみてください。
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