『流動比率』『自己資本比率』『固定比率』の3つの指標がわかったところで、実際にB/Sの5つのブロックのバランスをチェックして見ましょう。
会社の健康状態を
パターンA《健康優良企業》
パターンB《要経過観察企業》
パターンC《要再検査・治療企業》
3つのパターンに分類してみます。
パターンA《健康優良企業》
【 課題 】
次なる投資、相続
【 総評 】
もっとも優秀なパターンです。
流動ラインより流動資産が大きく下に出ていて、キャッシュは問題なく回っていますし、固定資産はすべて自己資本でまかなえています。銀行に依存することもなく、健全な企業活動ができているパターンです。
これまで蓄積してきた内部留保を生かし、次なる投資機会を逃さないようにしていくことが課題となります。
また、経営者が高齢の場合、内部留保が蓄積している分、自社株の評価が上昇している可能性があります。早めの相続対策を行っていくことも忘れずに。
パターンB《要経過観察企業》
【 課題 】
脱・銀行依存
【 総評 】
日本の中小企業で一番多いのが実はこのBパターンです。
流動資産は流動負債を上回っていますから、なんとかキャッシュは回せています。しかし、固定資産が自己資本を上回っている、つまり、投資を借入に依存しており、金利の支払いなどで余計にキャッシュが必要となります。
収入の水漏れを防ぎ、安定的に利益を出せる体質にする、無駄な資産を減らし、資産をスリム化した上で流動比率を高め、自己資本比率を上げる。これらの体質改善の取り組みが求められるパターンです。
パターンC《要再検査・治療企業》
【 課題 】
資金の手当て+事業の見直し
【 総評 】
早急に改善が必要なのがCパターンです。即刻、再検査もしくは治療が必要な状態です。
まずは、流動ラインより流動資産が上にあります。つまり、1年以内に返還すべき流動負債より流動資産が少ない状態です。これではどんなに売上が上がっても、流動負債、つまり短期的な借入の返済にも不足するという事態です。
また、流動負債で固定資産までまかなっており、まさに自転車操業状態です。キャッシュも十分に回らず、台所事情は火の車と言えます。このままでは遠からずキャッシュが底をつき、倒れるのは時間の問題です。即刻対処して改善しなければなりません。
今すぐに、売掛金、在庫、固定資産を確認し、現金化できるものは現金化し、キャッシュを生んでいない資産は売却。利益を生み出せる経営体質へ、早急に見直しを行ってください。
現在の自社がどのパターンに当てはまるのか?まずは、この現状分析をしっかり行います。そして、中期5カ年計画と一緒に、貸借対照表もどのように変化させて行くか。変化するのではなく、変化させるのです。これを考え、実行するのは社長の仕事です。
1年に1回決算前にこのような会社の検査『社検』を行い、先手先手で対策して行くことを100年中でサポートしています。現役社長同志が、お互いの事業をチェックすることで詳細の新規事業の発想なども合わせて行えることが特徴のひとつです。