結果を出しても会社・会社の方針に従わない社員は評価してはいけない

金村

ビジネスの世界では、目に見える成果や数字に注目が集まりがちです。しかし、真に持続可能な成長を実現するためには、短期的な成果だけでなく、長期的な視点や組織の方針との整合性も重要です。組織の持続的な成長に必要な要素について考えてみました。

成果を出す社員の事例

私たちの会社には過去に、非常に優秀と思われる社員がいました。この社員は2店舗の責任者として活躍し、常に予算目標に近い、あるいはそれを上回る成果を残していました。多くの企業であれば、このような社員は高く評価され、昇進や報酬の増加といった形で報われるでしょう。

しかし、私はこの社員を評価しませんでした。その理由は単純です。彼は会社の方針を共有せず、実行しない社員だったからです。これは一見、矛盾しているように思えるかもしれません。なぜ成果を出している社員を評価しないのか?それには深い理由があります。

短期的成果と長期的視点

現在良い成果を出しているからといって、それが将来も続くとは限りません。ビジネス環境は常に変化し、一時的な好条件や個人の才能だけでは、長期的な成功を保証できません。特に、会社の方針に従わずに独自のやり方で成果を出している場合、その成功は偶然の産物である可能性が高いのです。

会社の方針は、単なる規則やガイドラインではありません。それは組織の価値観、長期的なビジョン、そして持続可能な成功のための戦略を反映したものです。方針に従うことで、組織全体が一貫した方向性を持ち、個人の努力が全体の目標達成に確実に貢献することができます。

我流の危険性

仕事ができる「優秀な」社員ほど、実は評価が難しい場合があります。なぜなら、彼らの成功が組織の方針や価値観と合致していない場合、長期的には大きなリスクとなるからです。

例えば、この社員が何らかの理由で突然成果を出せなくなったとします。その時、彼は「方針に従わない人」であり、かつ「成果が出せない人」となります。これは組織にとって最悪のシナリオです。結果として、その社員は居場所を失い、自ら会社を去っていく可能性が高くなります。

さらに問題なのは、このような社員の存在が他の社員にも悪影響を及ぼす可能性があることです。「方針に従わなくても成功できる」という誤ったメッセージを送ることになり、組織全体の一貫性と方向性を損なう恐れがあります。

持続的成長の鍵

ここで重要になるのが「再現性」という概念です。持続的に成長する組織は、個人の才能や一時的な好条件に依存せず、誰もが実行可能で、繰り返し成果を生み出せるプロセスや方法を確立しています。

派手さや即効性はないかもしれませんが、地道な努力の積み重ねこそが、長期的な成功をもたらします。誰にでもできる基本的なことを、方針に沿って忠実に実行し続けること。これが持続的な成長の秘訣です。

派手な成果は一時的な注目を集めますが、それを継続することは極めて困難です。対照的に、地味な取り組みは継続しやすく、長期的には大きな成果につながります。

真の「人財」とは

組織にとって真の「人財」とは、単に短期的な成果を出す人ではありません。会社の方針を理解し、それを日々の業務で忠実に実行できる人こそが、長期的な成功をもたらす真の財産なのです。

もちろん、成果も重要です。しかし、成果だけを追い求めると、組織の持続的な成長に必要な要素を見失う危険性があります。短期的な成果と長期的な方針の実行、この両者のバランスが重要なのです。

継続は力なり

「ローマは1日にして成らず」というように、大きな成功は一朝一夕には得られません。日々の小さな成功の積み重ねが、やがて大きな成果となり、組織の持続的な成長をもたらします。

経営者や管理者は、短期的な成果に目を奪われることなく、長期的な視点を持ち、組織の方針に沿った行動を評価し、奨励することが重要です。そうすることで、真に持続可能な成長を実現し、組織の夢を現実のものとすることができるのです。


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