後継者必見!事業承継の悩みを解消する10のステップ

金村

事業継承における後継社長の代表的な悩み10選をまとめてみました。

後継者が直面する10の主要な課題

事業承継は企業の持続的成長にとって避けては通れない重要な局面です。ここでは、後継者が直面する10の典型的な課題と、それらを克服するための具体的かつ実践的な解決策をご紹介します。

社員がついてきてくれない

課題:
突然の後継者就任では、社員の信頼を得るのは困難です。特に長年勤めているベテラン社員や、先代経営者と強い信頼関係があった幹部社員からの信頼獲得が課題となります。

解決策:
現場での実践的経験:現場社員と同じ立場で働き、業務の課題や改善点を肌で感じる
定期的なコミュニケーション:部門ごとの懇親会や意見交換会を開催し、率直な対話の機会を設ける
経営ビジョンの明確化と共有:自身の経営ビジョンを明文化し、全社集会で発表する

実践的アドバイス:
信頼獲得には時間がかかります。焦らず、一貫した行動を続けることが重要です。また、キーパーソンとなる社員を見極め、彼らとの関係構築に特に注力しましょう。彼らの支持を得ることで、他の社員への影響力も高まります。

取引先との関係性が不安

課題:
長年の取引関係がある中で、新しい後継者を受け入れてもらうのは容易ではありません。特に、先代経営者との個人的な信頼関係が強い場合、取引条件の見直しを求められるなど、ビジネス上の不利益を被る可能性もあります。

解決策:
段階的な関係構築:現経営者と共に主要取引先を訪問し、計画的に関係を引き継ぐ
価値提案の刷新:自社の強みを活かした新たな価値提案を準備し、プレゼンテーションを行う
コミュニケーションの強化:定期的な情報交換会や勉強会を開催し、関係性を深める

実践的アドバイス:
取引先との関係構築は、ビジネスの継続性を左右する重要な要素です。単なる営業活動ではなく、パートナーシップの構築という視点で臨むことが重要です。また、自社の事業領域を拡大し、取引先に新たな価値を提供できるよう、常に自己研鑽に励みましょう。

資金繰りのノウハウが未熟

課題:
経営の要である資金繰りのノウハウが不足しています。特に、季節変動の大きい業種や、大型設備投資が必要な製造業などでは、適切な資金計画が企業の存続に直結します。

解決策:
金融機関との関係構築:自社の事業計画や経営戦略を詳細に説明し、理解を深めてもらう
財務・会計知識の向上:財務三表(貸借対照表、損益計算書、キャッシュフロー計算書)の読み方と関連性を徹底的に学ぶ
専門家の活用:定期的にミーティングを持ち、財務状況の分析と改善策を検討する

実践的アドバイス:
資金繰りは日々の努力の積み重ねです。毎日の入出金状況を確認し、週次で資金繰り表を更新する習慣をつけましょう。また、資金ショートのリスクに備え、常に複数の資金調達手段を確保しておくことが重要です。経営者として、「攻めの投資」と「守りの資金管理」のバランスを取ることが求められます。

会社に対しての想い・情熱が持てない

課題:
創業者や先代が築き上げた会社への愛着や使命感が薄いと感じる後継者も少なくありません。特に、他社での勤務経験がある場合や、幼少期から親の仕事姿を見る機会が少なかった場合に顕著です。

解決策:
会社の歴史と価値観の深掘り:会社の歴史年表を作成し、社会の変化と自社の対応を可視化する
社内外からの情報収集:長年勤めている社員や長期取引先、地域の関係者から、会社の変遷を教えてもらう
未来志向の経営ビジョン策定:10年後の自社のあるべき姿を具体的にイメージし、文書化する

実践的アドバイス:
会社への思いは、知識だけでなく、体験を通じて醸成されます。可能であれば、自社の主力製品の製造ラインで実際に働いてみたり、営業同行で顧客の声を直接聞いたりすることで、より深い理解と愛着が生まれるでしょう。また、自社の歴史や価値観を若手社員に伝える機会を積極的に設けることで、自身の理解も深まり、会社への思いがより強固なものとなります。

社内に居場所がない

課題:
後継者としての存在感を示せず、社内での居場所がないと感じることがあります。特に、突然の経営者就任や、現場経験が不足している場合に顕著です。

解決策:
責任あるポジションでの実績構築:新規事業の立ち上げや、既存事業の改革など、自身の裁量で実行できる役割を担う
全社的な視野の獲得:各部門を半年から1年程度のサイクルでローテーションし、全体像を把握する
発言力と影響力の向上:非管理職を含む様々な層の社員との対話の場を設け、現場の声を経営に反映させる

実践的アドバイス:
立ち位置の確立には、「信頼」と「実績」の両輪が必要です。短期的には目に見える成果を出すことに注力し、中長期的には自身の価値観や経営哲学を形成・発信していくことが重要です。また、現経営者や他の幹部社員と競合するのではなく、相互補完的な役割を見出すことで、smooth な事業承継につながります。自身の強みを活かしつつ、会社全体の発展に貢献できる独自のポジションを見出していきましょう。

現経営者との関係性が上手くいかない

課題:
現経営者(多くの場合、親族)との考え方の違いや確執により、スムーズな承継が難しくなることがあります。世代間のギャップや経営スタイルの違いが原因となることが多く、会社の方向性や意思決定に影響を及ぼす可能性があります。

解決策:
定期的かつ構造化されたコミュニケーション:週1回の定例ミーティングを設定し、経営課題や方針について率直に話し合う
役割分担の明確化:対外的な役割(取引先対応、金融機関対応など)の分担を明確にし、社内外に周知する
第三者の介入による客観的視点の導入:社外取締役や顧問を招き、中立的な立場からのアドバイスを受ける

実践的アドバイス:
現経営者との関係改善には、「尊重」と「主体性」のバランスが重要です。先代の功績と経験を尊重しつつ、自身の新しいアイデアや方針も明確に伝えていきましょう。また、個人的な感情と経営判断を切り離すことを心がけ、常に会社の利益を最優先に考えることで、建設的な関係を築くことができます。

社内外から先代と比較される

課題:
「先代ならこうした」という社内の声に悩まされ、自信を失ったり、独自の経営スタイルを確立できなかったりすることがあります。特に、業績が一時的に悪化した際や、大きな変革を行う際に顕著になります。

解決策:
先代の良さを認めつつ、新しい価値を創造する:「継承と革新」をキーワードに、会社の進化の必要性を説明する
自身の成功事例の積み重めと可視化:成功事例を社内報やミーティングで共有し、新しい経営の有効性を示す
社員との対話を通じた理解促進:若手社員や中間管理職との懇談会を開き、新しい時代に必要な変革について意見交換する

実践的アドバイス:
先代との比較は避けられませんが、それを恐れずに自身の色を出していくことが重要です。ただし、急激な変化は反発を招く可能性があるため、段階的に自身のスタイルを確立していくことをお勧めします。また、「なぜその決断をしたのか」という背景説明を丁寧に行うことで、社員の理解と支持を得やすくなります。

自分に自信が持てない

課題:
経営者としての自信が持てず、重要な決断に躊躇したり、リーダーシップを発揮できなかったりすることがあります。特に、経営経験が乏しい場合や、急激な環境変化に直面した際に顕著になります。

解決策:
体系的な経営知識の習得:財務、マーケティング、人事など、経営の各分野について継続的に最新の経営理論を学ぶ
実践的な経験の蓄積:小さな意思決定から始め、徐々に重要度の高い判断を下す経験を積む
メンターシップの活用:経験豊富な経営者をメンターとして定期的にアドバイスを受ける

実践的アドバイス:
自信は結果の積み重ねから生まれます。小さな成功体験を重視し、着実に実績を積み上げていくことが重要です。また、完璧を求めすぎず、「学習する組織」の考え方を取り入れ、失敗も貴重な経験として前向きに捉えることが大切です。自信過剰にならず、謙虚さを保ちつつ、確固たる信念を持って経営に当たることで、周囲からの信頼も増していきます。

将来への不安を感じる

課題:
経営環境の急激な変化や不確実性の高まりにより、将来の見通しが立たず、不安を感じることがあります。この不安が意思決定を鈍らせたり、消極的な経営姿勢につながったりする可能性があります。

解決策:
体系的な環境分析と戦略立案:5年の中期経営計画を策定し、具体的な数値目標と行動計画を立てる
リスク管理体制の整備:財務基盤の強化(自己資本比率の向上、手元流動性の確保など)を図る
人材育成と組織の柔軟性向上:従業員のスキルマップを作成し、計画的な人材育成を行う

実践的アドバイス:
将来への不安は、適切な準備と柔軟な対応力によって軽減できます。常に最悪のシナリオを想定しつつ、そこから這い上がる方法を考えることで、心理的な準備が整います。また、不確実性を「脅威」ではなく「機会」と捉え直すマインドセットを持つことで、より積極的な経営姿勢を維持できるでしょう。定期的に社外の視点(顧問、コンサルタントなど)を取り入れ、自社の状況を客観的に評価することも重要です。

後継者のビジョンが社内に浸透しない

課題:
後継者が新たに策定した経営理念やビジョンが、社内に十分に浸透せず、従業員の行動や意思決定に反映されないことがあります。これにより、組織の一体感が失われたり、経営戦略の実行力が低下したりする可能性があります。

解決策:
明確で共感性の高い理念・ビジョンの策定:理念やビジョンに込めた思いを、自身の言葉でストーリー化して伝え続ける
多様なコミュニケーション手段の活用:社内報やイントラネット、動画配信などを活用し、繰り返し発信する
行動指針への落とし込みと実践:理念・ビジョンに基づいた具体的な行動指針を策定する

実践的アドバイス:
理念やビジョンの浸透には、トップの一貫した姿勢と継続的な取り組みが不可欠です。自身が率先して理念やビジョンを体現し、日々の判断や行動の中で参照する姿を見せることが最も効果的です。また、抽象的な概念を具体的な行動や成果に結びつけるストーリーを用意し、機会があるごとに語ることで、従業員の理解と共感を深めることができます。理念やビジョンの浸透は一朝一夕にはいきませんが、粘り強く取り組むことで、強固な企業文化の礎となります。

事業承継を成功に導く3つの心構え

ここでは、事業承継における後継者が直面する10の主要な課題と、それらへの具体的な解決策を詳しく見てきました。これらの課題に取り組むことは容易ではありませんが、以下の3つの基本的な心構えを持つことで、多くの悩みを軽減し、より円滑な事業承継を実現することができます。

現実を受け入れる

後継者として会社に入った際、まずは良し悪しを判断せず、現状をありのままに受け入れ、正確に把握することが重要です。これが適切な対策を講じるための第一歩となります。

感謝の言葉を伝える

会社の成功は全従業員の努力の結晶です。先代が築いてきた価値観を尊重し、社員一人ひとりに感謝の言葉を伝えることで、円滑なコミュニケーションが生まれ、従業員の心を動かすことができます。

現状を否定しない

現状に不満があっても、まずはその背景にある理由を理解することが大切です。現状を否定せずに受け入れ、そこから改善策を考えることで、より効果的な変革を実現できます。

これらの心構えは単純ですがとても有効的です。日々の経営の中で意識し、実践することで、後継者としての悩みを軽減し、より効果的なリーダーシップを発揮することができるでしょう。あなたの努力が、日本の中小企業の未来を支え、ひいては日本経済の発展に貢献するのです。


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