ハードワーク by エディー・ジョーンズ【書評】

エディー・ジョーンズさんの『ハードワーク』を読み終えたのでご紹介。

日本人の特性を最大限に活かす。

”日本人にしかない強い力。
限りない粘り強さ、並外れた勤勉さ、きめ細かな技術、
頭の良さ、そしてあの感動的な連帯感。。。
一方で日本人は謙虚な国民です。
謙虚はもちろん美徳に違いありません。
しかし、私には弊害あるように思えます。
それは謙虚がいきすぎて、自身を過小評価し、
あの素晴らしい力を眠らせてしまうことになりかねないからです。”
海外視察をするたびに日本の、日本人の素晴らしさを感じる。
時間の正確さ、勤勉さ、そして、謙虚さ。
日本の中だけにいると中々気づかないが、
海外の色々な会社を訪問し、話を聞くことで、
どれだけ優れているかを痛感させられる。
連帯感も優れた部分の1つだ。
農耕民族のDNAが日本人には備わっているからだろう、
一人だけで成果をあげるのではなく、
チームとしての輪を保ちながらコツコツと
大きなことを成し遂げられる人種でもある。

もっともっと異文化と接することで、
日本人というアイデンティティを強く感じることができるだろう。

眠った力を開花させる方法。

”目標は「そんなことができる訳がない」と思えるほど、
大きなものを掲げるべきです。
手の届きやすい目標は、すでにある自分の力から、予想したものでしょう。
それでは「眠った力」を呼び覚ますことはできません。
今までに感じたことのない熱意を覚えたり、
100%の努力を傾けたりすることはないでしょう。
そのように、自分の中に眠った力を呼び覚まし、
当初は不可能に思えた目標を達成したり、肉薄したりした人が、
人生をよくいきた人なのではないでしょうか。”
人生や仕事で大きな成功を成し遂げたい時は、
明確な目標を立てる必要がある。
その目標から逆算して今何をすべきかを知ることができ、
行動することができるからだ。
私が主宰する経営塾”100年塾”に参加された社長たちには
中期5カ年計画を作成してもらっている。
条件はひとつだけ。『5年で売上倍増』だけである。
多くの社長は『無理だよ』と言う。
しかし、この目標を掲げることで今のままの延長では、
到底到達することができないことがわかる。
その時はじめて社長たちの潜在意識という
まだ開けていない引き出しが開き、
熱い想いと一緒に強い会社が作られていく。
これを毎年続けることで、
着実に会社は成長するだけでなく強くなっていく。

努力のマンネリ化は大敵。

”課題を1つ1つ明確にすることが大切です。
課題が明確になれば、人はそれを克服しようと努力します。
そこから可能性が広がっていくのです。
逆に、課題がはっきりしないのに頑張っても、何ら成果は表れません。
それは努力のマンネリ化、相手に対する漠然とした恐怖、
「どうせ勝てる訳がない」という負け犬根性を産むだけです。
「課題を明確にする」。
言葉で言うことは簡単だが、実際に会社で社員個人個人の課題を
どこまで明確にすることができているだろうか。
漠然とした状況で頑張る、ここで言う「努力のマンネリ化」が
多くの現場で起こっている。
経営塾では常々「頑張ってはいけない」ことを社長たちに伝えている。
決して頑張ることが悪いと言っているのではない。
万全の準備をして本番を迎え、
その瞬間瞬間で頑張ることを言っているならばいい。
多くの場合はそうではなく、
社長が「頑張る」という課題や計画を掲げることが問題なのである。
経営とは具体的に1つ1つ積み上げていくしかない。
その課題を社長がはっきりとさせることから全てがはじまる。

価値観を共有がチームを強くする。

”チームの一員になったならば、チームを第一に考え、
価値観をよく理解した上で、従うべきです。
リーダーは常にそれを、部下に植え付けることが大切です。
その際、軸をブレさせてはいけません。
1つでも例外を作ってしまえば、そこで終わりです。
部下は不平等というものにとても敏感だからです。
社員数が30人未満の小さな会社には
新卒社員よりも中途社員の方が多い傾向があります。
中途社員は性別はもちろん、年齢も違えば、これまでの職歴も違う。
ひとつだけ共通点があるとしたら、
何らかの理由で前の会社を辞めてきたということ。
小さな会社が大きな結果を残すためには、
まずは社員たちの価値観を揃える必要がある。
この価値観がバラバラの状態では、
大きな成果を成し遂げることはまずできない。
その価値観を合わせるための道具としてあるのが経営計画書です。
その中には会社の方針をはじめ、
価値観を合わせるための考え方がしっかりと書かれている。
これを毎週のベクトル勉強会などで読み合わせることで、
バラバラだった社員たちの価値観がゆっくりですが確実に合いはじめる。

褒めることを惜しまない。

”日本代表が世界と戦うために、必要だったこと。
それは、何と言ってもマインドセットを変えることでした。
弱いマインドセットを変えるためには、
選手は部下を褒めることが1番です。
褒めるのは言葉でも構いませんが、
より効果的なのははっきりと見える形で賞を与えること。
この本を読んでいてい幾つもの言葉が胸に刺さった。
中でもこの「弱いマインドセット」という言葉が心に響いた。
成功体験が少ない人によく起こることかもしれない。
もちろん若かりし過去の自分にもあった。
このマインドはかなり厄介だと思っていた。
この心の壁があることで、
上手く行っていることの継続性が断たれるからだ。
社長である私たちは褒めることを惜しんではいけないと改めて感じた。
今まで以上に社員のことを褒めていきたい。

まとめ

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まだ記憶に新しい前回のラグビーワールドカップでの日本代表の大活躍。
これまでの過去7回の通算成績を次の通りだ。

1勝2分21敗。。。

過去24試合で得点は428、失点1159。
世界で失点が1,000点を超えているチームは残念ながら日本代表だけである。

2011年のニュージーランドへの海外視察で、
現地でワールドカップを観戦したを今でも覚えている。
その大敗した日本代表が4年後のワールドカップで
これほど活躍するとは誰も考えることはできなかっただろう。
このチームを再構築して最高の結果を残した
エディー・ジョーンズヘッドコーチ。

とてもハードな練習をすることは聞いていたが、
リーダーとしてどのような考え方を持っているのか興味があった。

この本にはたくさんの言葉や考え方が散りばめられている。
読む人によって刺さる箇所は変わってくるだろう。
エディーが考える「ハードワーク」という言葉の中には、
身体的な努力だけではなく、精神的な努力が伴って
はじめてその努力が報われるという意味がある。
その精神的な努力とは「今より良くなりたい」という
向上心があるかないかである。
日本人ではない、世界を渡り歩いてきた
エディーだけが見えていたものは何か。
それをどのように日本代表に植えつけたのか。
経営者として彼の経験・思想から学べることは多かった1冊だった。

ハードワーク 勝つためのマインド・セッティング

(エディー・ジョーンズ・講談社) 

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    この記事を書いた人

    金村 秀一

    100年塾塾長・社長コンサルタント

    社員数30人以下のヒト・モノ・カネの悩みを解決するための成功し続ける社長の経営塾”100年塾”を主宰。

    経営塾”100年塾”は、飲食業界に関わらず、様々な業界の社長が全国各地から参加している。経営計画書・環境整備・斜めの関係という再現性の高い道具を使って、社員がイキイキと働きながら、社長の決定をすぐに実行する、高収益体質の会社づくりをサポート、生産性が高い強い経営ができる。